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まず黒鍵のサイズ(幅)を計っている所で、約10.5o〜11oです。
現代のサイズより1mm程度太く(上面部分で)寸胴に近い形状です。やはり隣りの黒鍵との間隔も少々狭いと言えます。
この年代の他メーカーにもこの傾向が有り、当時のヨーロッパでは指の細い人ばかりがピアノを弾いていたのか?と以前から不思議には思ってはいました。参考に当社の在庫ピアノで計ってみると1902年製スタインウェー10.5o・1920年製ブロードウッド9.5o
1913年製ベヒシュタイン10.5oの幅です。(各社黒檀)最近の黒鍵は皆細くなっているので、やはり弾きにくいとの声がメーカーさんに入ったのだろうと思われます。 |
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ベルトサンダーで削っている所です。
木製(黒檀)黒鍵なので着色でもしていない限り削れるだろうと以前より思っていました所、今回依頼がありましたので加工の方を承る事にしました。試しに1本削ってみた所、いい感じにはなりましたが、それぞれの黒鍵を均一な幅にできるか?と少々不安がありました。全ての黒鍵を計ってみた所、0.5o近くバラつきがあり、その範囲内に出来れば製造者以上の精度と言えますので、少々気が楽になり、削って計ってを繰り返し行い、約10o(上面部分で)に揃えました。最後にバフモーターによりツヤを揃えました。 |
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写真では解りませんが、それぞれ1.5mm程度広くしました。ご主人の指の太さまでは採寸していませんが、現代のピアノと同様にしましたので、おおむね満足していただいているのではと思っています。 |
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アクション部分のセンターピン全交換作業です。
お見積りに伺った時にとてもタッチが鈍く、発音はしているがやっと動いているといった感じで、湿度が上昇した際にはその傾向が進む事が予測されました。円滑な動き(タッチ)にする為、約300本(全て)の入替をしました。 |
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虫に喰われたフェルトや磨耗したクロスなどの交換です。
タッチを悪化している要因のひとつとなっている部分です。
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アクション部分の細かな修理が終わり組み上がった状態です。 |
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鍵盤ホールの加工作業をこれからする所です。
1本につき2ヶ所です。 |
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鍵盤の裏側からの図です。
皮を剥がし赤いクロス(繊維)に貼替をしました。
この部分もタッチに大きく影響する箇所で鍵盤の上下運動がスムーズになりギューといった雑音もなくなります。 |
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こちら側も貼替中ですが、皮を剥がす前に5.5mmの歯(エンドミル)でホールを広げた後にクロスを貼ります。ホール加工と全てのクロス貼替で1日半の作業です |
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アクション修理、鍵盤加工及び修理が出来上がった後、お客様宅へ取り付けに行き、調整作業で丸1日と別の日に調律とで2日間伺いまして全ての作業が終わりました。
当社への修理依頼、誠にありかとうございました。 |